会社


Case 1 新しく会社を設立したい

写真:名義変更イメージ

自分の会社を起こしたいと考えています。

自営業 男性(30歳)

-個人でやっている事業を法人化しようと思い、会社を作りたいのですが、何から手をつければいいですか。

会社にはいくつか種類があるので、まずはそれを決めなければなりません。会社は大きく株式会社と持分会社に分かれます。持分会社はさらに合名会社、合資会社、合同会社に分けられます。

-株式会社を作りたいのですが、どのような手続が必要ですか。

まずは、発起人という出資をして会社を作りたいという人全員で、会社の概要を決めていきます。決める事項は、

1.商号(会社の名前)
2.本店所在地
3.目的(業務の内容)
4.資本金の金額(出資する金額)
5.役員とその任期
6.事業年度

などです。

-資本金は1円からでもいいと伺ったのですが、本当でしょうか。

はい、本当です。現在は資本金の額についての制限がなくなったので、資本金は1円からでも会社を起こすことができます。ただ、実際には定款の認証費用、登記手続の登録免許税など会社を設立するには資本金以外にお金がかかりますのでご注意ください。

-会社の商号などを決めた後はどういう流れになりますか。

会社の概要の決定後は、それをもとに作成した定款について公証人の認証を受け、発起人が資本金を払い込み、設立の登記の申請手続を行うことになります。この他、発起人以外の出資者を募る場合、創立総会など別の手続が必要になります。

-できれば費用や手間を抑えたいので、もう少し簡単に作れる会社はありますか。

持分会社でしたら公証人による定款の認証が不要なため、株式会社を設立する場合より設立費用が低額になる傾向があります。

-株式会社と持分会社の違いはどんなところでしょうか。

株式会社は出資者である株主が自ら経営を行う必要はなく、別に経営者を選任することも可能ですが、持分会社は出資者全員が経営に携わることになります。持分会社の社員(出資者のこと)には、会社の借金などの債務について、直接の責任を負う無限責任社員と出資額の限度で責任を負う有限責任社員があります。合名会社は社員全員が無限責任社員で、合同会社は社員全員が有限責任社員です。無限責任社員と有限責任社員の両方の社員が存在するのが合資会社になります。

-私には株式会社と持分会社のどちらがいいのでしょうか。

株式会社と持分会社では出資者の責任負担や機関設計が大きく異なります。経営の規模や出資者の数によっても適する会社が違いますし、対外的なイメージも異なります。ご自身にとってどれが最適かよく検討した上で、いつでもお気軽にご相談ください。


Case 2  会社の承継をどうすべきか

写真:相続放棄イメージ

そろそろ自身の引退を考えています。

会社経営 男性(69歳)

-子供たちは別の仕事についていますので、会社を継がせるべきか悩んでいます。

会社には貴重なノウハウが蓄積されていますし、社会に対しこれまでに多大な貢献もされていますので、その事業が承継されないのは大変残念です。最近では税制特例が設けられ、事業承継について社会的な関心が高まっていますので、ゆっくり対策を検討されてはいかがですか。

‐そうですね。長年頑張ってくれている従業員もたくさんいますので、できれば会社を存続させたいのですが、いい方法はありますか。

一昔前に比べ、最近は親族以外が会社を承継するケースも増えてきています。平成18年5月に施行された会社法で用意された制度を組み合わせれば、いろいろな事業承継の方法が考えられます。従来からある親族への承継の他に、役員や従業員への承継、さらにはM&Aなども整備が進んできています。

-いろいろ検討すればよい方法がありそうですね。

具体的に検討されるなら、後日決算書類などの資料をご用意いただき、それから一緒に最善の方法を探しましょう。


Case 3 役員の任期を伸長したい

写真:老夫婦イメージ

取締役の任期が2年と短く、登記を忘れがちです。

会社役員 男性 (55歳)


-私の会社では最近役員変更登記をしていませんが、何か影響はありますか。

会社が必要な登記をある程度の期間行わないと、登記を怠ったとして過料の制裁を受けてしまいます。

-役員が変わっていないのですが、それでも必要でしょうか。

定款に定められた任期で役員を変更する手続が必要となり、たとえ実質的に役員が変わっていなくても役員変更登記が必要です。

-私の会社は親族経営の小さな会社なので役員の入れ替わりはほぼありません。任期を伸長することはできますか。

株式全てに譲渡制限規定があれば、株主総会決議で定款を変更することにより、最長10年まで伸長することが可能です。

-そうすれば、役員変更登記は10年に1回で済むのですか。

そのとおりです。ただ、10年というと長いので、会社の実情をよく考えて決めることをお勧めします。任期の管理も忘れないようにしてください。


Case 4 有限会社の制度廃止に伴い、必要な手続があれば知りたい

写真:手をつなぐイメージ

有限会社を経営していますが、法律の改正など、あまり詳しくありません。

会社経営 女性(60歳)

-私は約20年前に有限会社を設立しましたが、有限会社自体がなくなったというのは本当でしょうか。

はい、そのとおりです。平成18年5月に施行された会社法により、有限会社は株式会社に一本化されました。

-では、今私の会社はどうなっているのでしょうか。

従来の有限会社は特例有限会社として存続します。法律上は株式会社になるのですが、登記申請をすることなく今までどおり有限会社の商号を使い続けることができます。

-それでは、有限会社のままで問題ないのですね。

はい、従来の有限会社は法律上特例有限会社となり、このまま存続するのであれば特別な手続は必要ありません。しかし、株式会社にされるのであれば、有限会社から株式会社への商号の変更を株主総会で決議し、株式会社の設立の登記申請と特例有限会社の解散の登記申請を行う必要があります。

-特例有限会社と株式会社はどう違うのですか。

特例有限会社は、従来の有限会社と同様に役員の任期に制限がなかったり、決算公告の義務もないなど株式会社より手続が少なくて済みます。しかし、取締役会を置くことができなかったり、株式の譲渡制限規定の内容も限定されていますので、機関設計に制限があります。

-このまま特例有限会社にしておくか、株式会社に変更するかは今後の会社の経営方針によって変わってくるのですね。

そうですね。平成18年5月に施行された会社法では、会社の組織形態が多様化し選択の幅が広がりました。私たちは経営者の方が目的や規模に応じて的確な選択ができるよう企業法務のお手伝いをいたしますので、お気軽にご相談ください。


その他司法書士にできること

写真:手をつなぐイメージ

その他司法書士にできることとして「会社の解散、清算結了」、「事業譲渡、会社分割、合併」
についてご説明します。

会社の解散、清算結了

会社の営業をやめる決断をされ、株主総会で会社の解散を決議した場合、清算人を選任し会社の清算を行うことになります。清算人が会社財産を全て清算し、清算結了登記を行うことによって会社の法人格が消滅します。事情によっては債務超過等の場合の特別清算や破産なども考慮する必要がありますので、詳しくはお近くの司法書士までご相談ください。

事業譲渡、会社分割、合併

事業譲渡は、会社が事業の一部または全部を他の会社に譲渡(売買)する手続です。契約によって個別の財産・負債・権利関係等を譲受会社に移転します。

会社分割は事業譲渡と似ていますが、会社がその事業に関して有する権利義務の全部または一部を包括的に別の会社へ承継することをいいます。事業を新しく設立した会社へ承継する「新設分割」と、既存の他の会社へ承継する「吸収分割」があります。合併は複数の会社をひとつに統合する手続です。合併によって消滅する会社が持つ権利義務すべてを存続する他の会社に承継させる吸収合併や、合併によって新しく設立する会社に承継する新設合併があります。

司法書士は事業譲渡に伴う不動産の権利移転登記や会社分割・合併に伴う会社の登記をはじめ、必要な手続のサポートをすることができます。


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