相続


Case 1 父の不動産を相続したので名義を変更したい

写真:名義変更イメージ

先月、父が亡くなり、私が父の不動産を相続したので、名義を変更したいのですが。

自営業 男性(58歳)

-先月、私の父が亡くなりました。父母とは同居しており、これからも母と一緒に私が住み続けたいと考えています。この家の名義は父の名義になっているので、名義を私に変更したいのですが、どうしたら良いでしょうか?

お父様名義の不動産を、ご相談者様の名義に変更するには相続による所有権移転登記の手続を行います。この手続を行うためには、相続人全員で「遺産分割協議」を行っていただく必要があります。

-私の母は高齢で、不動産は長男である私に相続してほしいと言っています。また、私には妹が1人いますが、結婚して県外で暮らしており、こちらに戻ってくることもないということで、私が父の不動産を相続することに納得してくれています。

なるほど。相続人全員の合意は得られているのですね。今後の進め方としましては、その合意内容を「遺産分割協議書」という書面にし、相続人全員で押印していただくことになります。戸籍等の必要書類が揃った後に登記申請を行います。ご不明な点があれば、お近くの司法書士にご相談してみてはいかがでしょうか?

-わかりました。それと、父は自宅以外にも他県に農地を所有しており、この農地も私が相続することになったのですが、その登記手続を依頼するのは、その地域の司法書士の方でなければならないのでしょうか?

いえいえ、そんなことはありません。今は、オンライン申請ができるようになり、遠方の不動産であっても、登記手続を行うことは可能です。また、登記簿に記載されている不動産の情報についても、「登記情報提供サービス」というインターネットによるサービスを利用することにより、法務局に行くことなく、司法書士の事務所で登記情報を確認することができます。

-安心しました。不動産がある他県まで行かなければいけないのかと思っていました。


Case 2 借金を残したまま亡くなった兄の相続を放棄したい

写真:相続放棄イメージ

長年、音信不通だった兄の借金を支払ってほしいとの通知が突然届きました。
こんな多額のお金を支払うことはできません。どのようにすればよいでしょうか?

無職 女性(70歳)

-私には、10年程、連絡が取れず、どこで暮らしているのかわからない兄がいましたが、数日前、突然私のところにローン会社からお手紙が届き、兄は多額の借金を残して亡くなったこと、そして兄には配偶者や子どもがおらず、父母も既に亡くなっているので、妹である私が相続人になったため、代わりに支払ってほしいと書かれていました。このような多額のお金を支払うことができません。相続したくない場合、手続をすれば回避できるようなことを以前テレビで観たのですが、本当ですか?

それは「相続放棄」という制度です。民法では、相続したくない人のために相続人が財産の相続を拒否することを認めると定められています。相続放棄をすると、最初からその相続人がいなかったものと扱われ、遺産分割協議に参加することもありません。

相続放棄の手続をしたいのですが、注意点はありますか?

相続放棄は、お兄様(被相続人)が亡くなったときではなく、相続であなたがご自分のための相続が開始したことを知った時点から3ヶ月以内、つまり、お兄様が亡くなったこと、及び自分が相続人となったことの両方を知った時から3ヶ月以内に、家庭裁判所に申立をしなければなりません。その期間を過ぎてからだと、相続放棄の手続を行うことができなくなりますので、ご注意ください。また、たとえ相続放棄しても、放棄した不動産を占有している場合には、民法の規定によりその不動産を適切に管理する義務が残る場合があります。


-相続放棄をするにも期限が決められていて、いつでもできるわけではないのですね。

そうです。相続放棄をしたくても、単に知識がなかったために期限が過ぎてしまい、相続放棄ができなくなるケースが多々ありますので、ご注意ください。

-私も高齢で、手続に必要な書類を準備するのが大変そうなのですが。

手続に必要な戸籍等を、司法書士が依頼を受けて取得することも可能ですので、一度お近くの司法書士に相談されてはいかがでしょうか?



Case 3 私たち夫婦には子供がいないので、全財産を妻に遺したい

写真:老夫婦イメージ

子供がいない場合、どのようにすれば妻に全財産を遺すことができるのでしょうか?

会社員 男性(64歳)

-会社の同僚から、私たちのような子どものいない夫婦は、相続の時に揉める可能性が高いと聞いたことがあるのですが、どういうことでしょうか?

あなたがもし亡くなった場合、奥様が相続人になるのは当然ですが、あなたの親がその時に亡くなっていれば、あなたの兄弟姉妹も全員相続人になります。さらに、あなたが亡くなった時に、その兄弟姉妹の方が既に亡くなっていれば、その兄弟姉妹のお子様も相続人になってきます。遺産分割協議を行うには相続人全員で行わなければなりませんが、相続人となった兄弟姉妹や甥、姪の方のなかに、あなたと疎遠な方がいる場合には、なかなか手続が進まないといった状況になる可能性があります。

-そういうことですか。私は妻に全財産を遺してあげたいと考えているのですが、何か方法はありますか?

「遺言書」を遺すという方法があります。「遺言書」を遺せば、あなたのお考え通り、奥様に全財産を相続させることも可能です。遺言書には種類や決まった書き方のルールがありますので、もしわからなければ一度司法書士に相談されてみてはいかがでしょうか?

-わかりました。その他にも遺言書がないと、後で揉めるケースはありますか?

  1. 血のつながりがない、あるいは血のつながりが薄い者同士が相続人になる場合(例.先妻の子と後妻、先妻の子と後妻の子)
  2. 内縁関係のカップルの場合
  3. 亡くなった方の介護をしていた方に相続権がない場合(例.長男の妻、長女の夫)

これらの場合には、遺言書を遺すことでトラブルを未然に防ぐことができますし、亡くなった方の想いも叶えることができます。

-なるほど。ちなみに、一度作った遺言書を書き直すことはできますか?

民法では、「遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部又は一部を撤回することができる。」と定められていますので、書き直すことができます。


Case 4 相続人が行方不明である相続の手続を進めたい

写真:手をつなぐイメージ

音信不通で連絡が取れない弟がいて、父の相続手続ができずに困っています。

無職 男性(70歳)

-このたび、息子夫婦と同居することになり自宅を建て替えようと思ったのですが、建設会社から土地が亡くなった父の登記名義になっているので、先に「相続登記」の手続をするように言われました。しかし、実は私の弟は10年ほど前から音信不通で、現在も連絡が取れない状態です。弟以外の相続人は、私が土地を相続することに同意してくれているのですが、どうすればよいでしょうか?弟は生きていれば今年で65歳になります。

そうですか。今回のようなケースでは、弟様のための「財産管理人」を選任することができます。この管理人のことを「不在者財産管理人」と言い、弟様に代わって、亡くなったお父様の遺産分割の協議をしてもらうことができます。また、弟様は生死不明の状態が7年以上続いていますので、「失踪宣告」の手続を取ることも考えられます。「失踪宣告」がなされると、弟様は死亡したものとみなされます。

-年齢的に弟は生存していると思いますし、「失踪宣告」まではしたくありません。「不在者財産管理人」を選任したいと思いますが、どのようにすればよいでしょうか?

「不在者財産管理人」は、利害関係人の申立により、家庭裁判所が選任することになっています。あなたはお父様の相続に関して弟様と利害関係がありますので、申立をすることができます。

-その申立の手続を司法書士の方にお願いすることはできますか?

家庭裁判所に提出する書類の作成も司法書士の業務の一つですのでお任せ下さい。


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