司法書士について

司法書士の自己紹介・業務内容について 

司法書士制度は、法律(司法書士法)に定められた、140年以上の歴史を持つ制度です。

司法書士法第3条は、司法書士の業務を次のように定めています。 

  • 登記または供託に関する手続について代理すること 
  • 裁判所、検察庁または法務局もしくは地方法務局に提出する書類を作成すること
  • 簡易裁判所における訴訟代理等をすること及び裁判外での和解の代理や相談に応じること
  • 法務局または地方法務局の長に対する登記または供託に関する審査請求の手続について代理すること 
また、司法書士法施行規則第31条には、次のような業務も規定されています。

  • 家庭裁判所から選任される成年後見人、不在者財産管理人、破産管財人などの業務

不動産登記

不動産登記

土地や建物などの不動産は高額で、その手続も複雑です。

また、担保権や差し押さえなど、注意を要することも多く、失敗の許されない手続です。

このような時に活躍するのが司法書士です。 

不動産の取引に立ち合い、担保権の抹消・売買・新たな担保権の設定など、利益の対立する当事者の中で利害を調整し、真正な登記手続を代理します。

また、相続手続も司法書士の重要な仕事です。

人が亡くなれば相続が発生します。

もし、土地や建物などを所有していれば相続による所有権移転登記をすることになりますが、司法書士は、依頼者の相談を受け、相続人の調査、必要書類の作成、登記申請など、一連の手続を完成させます。

この時、相続人間で協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に対し調停などの申立書を作るのも司法書士の仕事です。

相続が発生する前に将来の財産の承継を考えることもあるでしょう。

そのような時にも司法書士がお役に立ちます。

商業(法人)登記

商業(法人)登記

株式会社や有限会社などの会社の登記も司法書士の仕事です。

会社は、設立登記により世の中に誕生します。

また、役員が代ったり、本店や事業目的あるいは資本金などに変更があった場合にも変更登記が必要です。

また、会社以外の社会福祉法人、医療法人、宗教法人などの設立あるいは変更手続も司法書士がお手伝いします。

供託

供託

供託という言葉をご存知でしょうか。

法律の定めにより「供託所」にお金を納める手続ですが、例えば、地代・家賃の弁済供託などが代表的なものです。

借家に住んでる人が家主から急に値上げを要求された時などに効果を発揮します。

ほかにも、保証供託や公職選挙法の供託など、いずれも司法書士にご相談ください。

裁判手続き

裁判手続き

裁判所へ提出する書類を作成するのも司法書士の仕事です。

司法書士は、訴状や答弁書など、裁判に必要な書類を作成するという形でみなさんをバックアップします。

特に、少額訴訟などは本人が訴訟を遂行することも多く、このようなとき、司法書士がお役に立ちます。また、家事事件と呼ばれる、遺産分割や遺言に関する申立、あるいは失踪宣告や不在者の財産管理人の申立なども司法書士の得意分野です。

☆ところで、平成15年の法改正により、司法書士の仕事が大きく変わりました。

法務大臣が指定した研修を終了し、認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における訴訟代理ができることとなったのです。

具体的には、簡易裁判所での訴訟について弁論や和解をしたり、裁判外での催告や示談交渉などができます。

今後、これらの認定司法書士の増加とともに、市民により身近な法律家としての期待が高まります。

成年後見

裁判手続き

私たちは、契約を前提とする社会に生きています。「お店で商品を買う」という日常的な行為も、実は契約です。その他にも、不動産や預貯金等の財産管理契約、福祉サービスの利用や施設への入所契約等、生活の中では様々な契約をする必要があります。

 契約をするには、結果を予想する判断能力が必要となりますが、認知症、知的障がい、精神障がい等により判断能力が十分ではない場合、自分にとって不利益な契約を結んでしまい、その結果、被害にあってしまうこともあります。

成年後見制度は、判断能力が不十分な方々の権利や財産を守り、意思決定を支援する仕組みです。司法書士は、みなさんが安心して生活を送るために、専門家として適切なサポートを行います。  


  成年後見制度について詳しくはこちら 



司法書士の歴史

法治国家のはじまり

今から約1世紀半前、鎖国が解かれ海外から新しい文化が日本に押し寄せました。

新政府はこの洗礼を受け新たな法制度を確立しようとしていました。

1872(明治5)年 代言人・代書人・証書人制度の誕生
太政官無号達で司法職務定制が定められる。これはわが国最初の裁判所構成法ともいうべきもので、全22章108条からなる法典。
この第10章「証書人・代書人・代言人職制」 の中に法制度を支える3つの基本的な職能が定められた。
特に代書人・代言人は裁判権の円滑な行使に不可欠な存在として位置付けられた。
証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士である。

1873(明治6)年 代書人強制主義を採用
太政官布告第257号によって制定されたわが国最初の民事訴訟法ともいうべき訴答文例は代書人強制主義を採用した。
訴訟手続上、原告・被告それぞれが代書人の選定を義務付けられ、司法職務定制の二元主義的弁護士制度への志向が明確にされた。

1874(明治7)年 強制主義廃止される
太政官布告第75号「代書人用方改定」により、代書人強制主義が廃止され、代書人を選ぶのは任意とされた。
代書人を用いない場合は、親戚または朋友を差添人として、訴状・答弁書にその連印が要求された。


明治の変遷

明治の近代国家建設のうねりの中で、証書人・代書人・代言人の制度がそれぞれ消長を迎えます。

代言人は明治23年、弁護士と名称が変更され ました。

一方、代書人は法の表面に浮かび上がることなく、深く広く庶民の中で法律実務家として活動を続けました。

1919(大正8)年 法制度の確立
司法代書人法が制定され、司法代書人と一般代書人に分離された。
1927(昭和2)年 日本司法代書人連合会創立
現在の日本司法書士会連合会の前身にあたる日本司法代書人連合会が発足した。
この連合会は任意参加団体であったが、各地方裁判所所属司法代書人会を基礎単位とし、発足時に加盟した司法代書人会は38会、未加盟会は14会であった。

1935(昭和10)年 名称改正
司法書士法が制定され、「司法代書人」が「司法書士」となった。
1950(昭和25)年 戦後司法制度下の新司法書士法
新憲法の下で新たな司法書士法が成立した。従来の官の全面的な監督権が廃止された。
1956(昭和31)年 司法書士会の強制設立、全員加入
司法書士法が一部改正され、司法書士会および連合会が強制設立となり、司法書士は司法書士会に入会しないと業務を行うことができなくなった。
1967(昭和42)年 司法書士会の法人格取得
司法書士法が一部改正され、司法書士会および連合会に法人格が与えられた。
1978(昭和53)年 国家試験制度が導入される
司法書士法が一部改正され、国家試験制度の導入など資格に関する制度の合理化、登録制度の新設がなされた。
また、司法書士制度の目的および司法書士の職責に関する規定を明確に定めた。
さらに所属会員に対する注意勧告や連合会の法務大臣に対する建議についての規定を設けるなど、司法書士制度を大きく発展させる改正であった。

1985(昭和60)年 登録事務の移譲、公共嘱託登記受託組織の法人化
司法書士法が一部改正され、それまで法務局または地方法務局が行っていた司法書士の登録事務が連合会に移譲され、司法書士会の自主性が高められた。
また、官公署等が公共事業に関して行う不動産登記手続を受託するため、司法書士を社員とする社団法人公共嘱託登記司法書士協会が設立された。(現在、は公共事業等の縮小もあり、組織は解散している)


司法制度改革の中で

21世紀になり、わが国は「規制社会から活力ある競争社会へ」と大きな変革を迎えます。

自己責任型の競争社会では、紛争を迅速に解決するために司法制度の改革が要求されました。

この流れの中で、国民の身近な紛争の解決の担い手として、司法書士にスポットライトがあてられることとなりました。

2002(平成14)年 簡易裁判所における訴訟代理等を行う業務が付与される
司法書士法が大幅に改正された。
その改正内容は多岐にわたり、法務大臣が指定する法人が行う研修を修了し、法務大臣に認定を受けた司法書士は簡易裁判所における事物管轄を範囲内とする民事訴訟、調停、即決和解等の代理、法律相談、裁判外和解の代理を行うことができる規定が新設された。
その他の主な改正としては、司法書士法人に関する規定、司法書士会における紛議調停に関する規定の新設、司法書士試験科目の憲法追加などである。


身近な法律家

このように、司法書士は身近な法律パートナーとして、日常の生活から発生するいろいろな法律問題に応えています。

また、現在全国に司法書士がいますが、都会に偏在することなく、全国で広く活躍するのも司法書士の特徴です。

香川県でも司法書士が活躍しており、ほとんどの市や町で司法書士の事務所を見かけることができます。

まさに、最も身近でみなさまの暮らしの問題を解決しているのです。